その他データ
※ 制作段階での仮題データ(判明分のみ)です ※
正式タイトル | 仮タイトル |
---|---|
結婚するなら金持ちの女かなじみの女か | 運命の分岐点 |
彼女がすわるのは左のイスか右のイスか | 赤い靴 |
あるフェミニスト課長の秘書選び・美人かブスか | フェミニスト |
イジメっ子と親友・どちらの同窓会へ行くべきか | 同窓会 |
噂好きの団地・引越のあいさつは安物か高級品か | 噂好きの団地 |
完全犯罪・双子の美人姉妹、生き残ったのは姉か妹か | 完全犯罪 |
結婚して子供を生みますか?就職して出世をめざしますか? | キャリア・ウーマン |
花を愛するか、宝石に生きるか | 花とダイアモンド |
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? | 少年たちは花火を横から見たかった |
※ 番組の平均視聴率(関東地区)データです ※
放送日 | タイトル | 視聴率 |
---|---|---|
1993.04.22 | 結婚するなら金持ちの女かなじみの女か | 18.1% |
1993.05.06 | 彼女がすわるのは左のイスか右のイスか | 15.9% |
1993.05.13 | あるフェミニスト課長の秘書選び・美人かブスか | 14.3% |
1993.05.20 | イジメっ子と親友・どちらの同窓会へ行くべきか | 15.2% |
1993.05.27 | セールスマンの大災難・不幸を呼ぶのは右手か左手か | 12.3% |
1993.06.10 | 噂好きの団地・引越のあいさつは安物か高級品か | 14.2% |
1993.06.17 | 完全犯罪・双子の美人姉妹、生き残ったのは姉か妹か | 13.3% |
1993.07.01 | この夏、あなたにピッタリの髪型は?ロングかショートか | 13.2% |
1993.07.08 | "別れましょう"か "結婚しよう"か | 10.4% |
1993.07.15 | 結婚して子供を生みますか?就職して出世をめざしますか? | 12.3% |
1993.07.22 | 神様がくれる幸運 分割でもらうか、一括でもらうか | 8.6% |
1993.08.05 | 緊急事態!飛行機で行くか? 新幹線で行くか? | 13.9% |
1993.08.12 | 花を愛するか、宝石に生きるか | 11.6% |
1993.08.19 | 両親が離婚したら!パパと暮らす? ママと暮らす? | 11.8% |
1993.08.26 | 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? | 14.0% |
1993.09.02 | 人生ゲーム 残された2通の遺言状 | 10.6% |
1993.09.16 | 人生やりなおすなら、18才に戻る? 25才に戻る? | 14.6% |
『新形式ドラマ「ifもしも」タモリの案内で4月からフジ系で放送』
「もし、あの時ああしていたら」
──人間だれしも過去を振り返って、そう思うことはあるもの。
そんな思いを受けて、2つの結末を用意した新形式ドラマ「ifもしも」(フジテレビ・木曜午後8時)の制作が、
4月22日スタートに向け進んでいる。
この番組は、「世にも奇妙な物語」と同じくタモリが案内役をつとめ、就職や結婚をはじめとする
人生の微妙な分かれ道に直面した主人公の、そのときの選択に応じた「二つのその後」を描き出す仕掛け。
人間の運命の不思議を、時にユーモラスに、時にサスペンスいっぱいに浮き彫りにする。
(1993年2月28日 毎日新聞)
『仮想現実描くフジ「もしも」 1話完結で2つの結末』
4月の番組改編期を前にして、新番組の発表が相次いでいる。
ドラマでは、フジテレビの「ifもしも」(4月22日から、木曜後8:00)が注目される。
一話完結形式で二つの結末を見せる、という新機軸を打ち出しているからだ。
人生や歴史には、「あの時もしも、ああしていたら」という瞬間が往々にしてある。
このドラマは、もう1つの選択の結果も見せてしまう。
一回目では、主人公が結婚相手として、金持ちの父を持つ美人を選んだ場合と、
幼なじみを妻にした場合の2通りを描く。
この枠は3年前、「世にも奇妙な物語」を送り出し、
オムニバスドラマ流行のきっかけを作った。
今回もそのスタッフが発案し、実現にこぎつけたという。
村上光一編成局長が「現場の若手が新しい企画を出し、編成がその意欲を吸収する。
フジらしいチャレンジ精神の新番組」と自負する通り、確かに意欲は感じられる。
この局には、他局の番組の後追いを排し、常に新たな可能性を追い続ける姿勢がある。
もっとも、「ありえたかもしれないもう1つの人生」というテーマは、
「世にも奇妙な物語」でも、夢や幻想という形でしばしば見られた。
その際たいていは、主人公が現実に引き戻されるところで終わり、それが落ちになっていた。
今度の試みは、あの人気ドラマの手法をさらに突き進めたとも思われるが、
私たちの実人生に「もしも」はありえない。ドラマの上では、どちらの選択が現実で、
どちらが仮定になるのかと、余計な心配もしてしまう。
はやりの「バーチャル・リアリティー(仮想現実)」体験に慣れた若者層には、
そんなことはどうでもいいか……。
(1993年3月3日 読売新聞)
『結末が2つあるドラマ フジ、ゲームとの中間狙う』
ストーリーも結末も二つあるドラマ「ifもしも」が22日からフジテレビで始まる。
主人公がある選択に直面した時、一方を選んだらどうなるか、もう一方ならどうかの両方を見せる。
テレビゲームやゲームブックにも似た新しい試みだ。
第1話は「結婚するなら金持ちの女かなじみの女か」。
大手電鉄会社のサラリーマン(保阪尚輝)が、常務の娘(鶴田真由)と、
学生時代からつきあっているおもちゃ店の娘(白島靖代)のどちらと結婚しようか、と悩む。
ドラマはそこから2つに分裂、常務の娘を選んだ場合と、おもちゃ店の娘を選んだ場合、
それぞれのストーリーが展開される。
狂言回し兼ナレーターはタモリ。「人生は皮肉なものです」と締めくくる。
1時間で2つの筋を展開するため、ドラマとしての奥行きはあまりないが、
形式は目新しく、実際には不可能な人生のやり直しを見せる。
企画したフジテレビ編成部の小牧次郎さんは
「一般のドラマとゲームの間の空白だった部分に番組として存在しえるのでは」と話す。
先日TBSと共同で放送した「ザッピングテレビ」は、1つのストーリーを2通りに見せたが
「2つ結末があるドラマは世界でも例がないと思う」とも。
脚本の戸田山雅司さんは、一方の脚本を1行削ると、もう一方も同じように削らなくてはならず、
最後は机に2台のワープロを並べて執筆した、という。放送は午後8時から。
(1993年4月9日 朝日新聞)
『世界初 結末が2つの新ドラマ登場 フジ・関西系「ifもしも」』
世界でも初めての“結末が二つあるドラマ”が登場する。
フジ・関西系「ifもしも」(22日から、木曜後8:00)で、
同局の「世にも奇妙な物語」をヒットさせたスタッフと語り手のタモリが、またまた放つ冒険作だ。
ドラマのキーワードは「Y」。
人間はだれでも、その人生において数々の選択を行い、
「もし、あのとき、A(Yの文字の右もしくは左)でなく
B(左もしくは右)を選んでいたならば…」と思うことがしばしばだが、
この「if」ではAとBのそれぞれの場合のストーリーを展開させて、
1時間の放送時間の中で両方の話を見せてしまう。
ゲームブック形式、またはファミコンゲームの番組化とも言える野心的な試みで、
発案者はオムニバス形式のドラマ「世にも奇妙な物語」と、
その前身番組「世にも奇妙な出来事」(深夜)を送り出したスタッフたち。
「結末が2つというヒントは、あえて言うなら映画の“危険な情事”がありますが、
テレビでは世界でも例を見ない企画。ドラマの結末をどうするかという話し合いは、
われわれが日常の企画会議でやっていることなので、
今回はそれをそのまま映像にしてしまおう」(小牧次郎編成部員)というわけだ。
ドラマの冒頭では毎回、タモリが人生の選択の皮肉さについてのコメントと主人公の簡単なプロフィルを説明。
そしてまずAの選択ドラマが流れた後、「もしも、彼(彼女)がBを選択していたなら、
はたしてどうなっていたのでしょうか」と言うタモリの語りに続いて
Bの選択ドラマが展開される。
22日の「結婚するなら金持ちの女かなじみの女か」では、
優柔不断な主人公(保阪尚輝)が結婚問題をめぐって重役の娘を取るか
学生時代からのガールフレンドを取るかと迷うところからスタート。
また、29日の「赤い靴」では男性に対して奥手のOL(斉藤由貴)が、
たまたま入ったカウンターバーの席を選ぶ際に若い男性の隣か
中年の男性の隣かと迷うイントロになっている。
もちろん、AとBの結末は全く異なるわけだが、「ラストに関しては、
オレならばこういう結末にすると思いながら見ている視聴者と、われわれとの知恵比べ。
簡単に読まれないようにいろいろなパターンを考えていきたい」(小牧さん)と“遊び心”を弾ませている。
(1993年4月20日 産経新聞)
『関西テレビ系の誘拐ドラマ、放映中止』
関西テレビ系で26日午後8時から放映予定だったドラマシリーズ「ifもしも」の『誘拐するなら男の子か女の子か』が、
甲府市で起きた信金女性職員誘拐殺人事件の影響で放映中止になった。
関西テレビ広報部は「誘拐で犠牲者が出た直後なので、放映はふさわしくないと判断した」としている。
(1993年8月26日 毎日新聞 関西版)
『[モニター]映画監督協会新人賞の岩井俊二氏 手作りが生む強い個性』
フジテレビで昨年4月から9月にかけて放送されたドラマ「ifもしも」の一編、
「打ち上げ花火・下から見るか?横から見るか?」(8月26日放送)を演出した岩井俊二ディレクターが、
テレビ制作者として初めて、93年度の日本映画監督協会新人賞に選ばれた。
制作会社「ウオーター&アイズ」に所属する岩井ディレクターは31歳。
学生時代から8ミリ映画を撮り始め、サザンオールスターズや
東京少年などのビデオ・クリップ制作を経て、ドラマの世界に入った。
「打ち上げ-」は思春期の少年たちのひと夏の経験を描いた。
新春の「世にも奇妙な物語」(フジテレビ)の「ルナティック・ラヴ」はサイコ・ホラー。
登場人物の内面描写に力点を置いた文学的な作風が共通している。
また、手持ちのビデオカメラで撮影した絵を様々な技術で加工し、
フィルム映画のような質感を出す独特の映像は、以前から一部の関係者の間で高く評価されてきた。
「ビデオの画像は生々し過ぎる。一つフィルターをかけて、現実を見る感覚が好き」と言う。
音楽ビデオの世界では、フィルム撮影風の絵柄が好まれる。「仕事を通して、自然に覚えた技術」とも言う。
脚本から編集まですべて自分でこなす手作りが強い個性を生む。反面、時間はかかる。
「打ち上げ-」は三か月かかった。
「テレビの仕事は続けたいが、自分のペースだと、連続ものは……」と首をかしげる。
現在は、「映画の企画を進めている」そうだ。「打ち上げ-」は、14.0%の視聴率を記録した。
決してマイナー志向の制作者ではない。こうした才能が定着してこそ、テレビは成熟したと言えるのではないか。
(1994年3月23日 読売新聞 夕刊)
『「TVの賞かと」「賛否両論が…」 映画新人賞受賞の2監督』
1993年度日本映画監督協会新人賞の贈呈式と上映会などが、このほど東京・渋谷で開かれた。
受賞者は、「ifもしも / 打ち上げ花火・下から見るか?横から見るか?」の岩井俊二監督(31)と、
「妻はフィリピーナ」の寺田靖範監督(30)の二人。
「if」は昨年8月にフジテレビで放映されたドラマで、
34回目を迎えた同賞で、初のテレビ作品での受賞となった。
両親の離婚で転校することが決まった少女と同級生の少年の、夏休みの一日を描く。
岩井監督は、「最初テレビの賞かと思ったので、映画の賞と聞き驚きました。個人的には映画志向で、
スタッフも映画の人たちとやってきたのですが、自分には関係ない賞だと思っていましたから……」。
現在、初の劇場用映画の企画も進んでいるところだという。
(1994年4月21日 朝日新聞 夕刊)
『【関西笑談】脚本家・楠本ひろみさん(2) デビュー作は本広監督が演出も…お蔵入りに』
──脚本家デビューのきっかけは?
楠本「私やシナリオ学校の同僚が書いた数本の脚本を、テレビ制作会社などに送りました。
すると同僚の脚本が東京のテレビプロデューサーの目にとまったんです。
ですが、同僚が忙しかったため、私が書き直すことになりました。
当時、大阪で勤務していたので、何度も書き直しては打ち合わせのために上京し…、
という生活を続けた末に決定稿を仕上げ、ようやく放送が決まったときは本当にうれしかったですね。
それがある事件のために放送中止になるなんて…。」
──この幻のテレビドラマデビュー作「ifもしも 誘拐するなら男の子か女の子か」
(フジテレビなど制作)は、テレビ業界での“伝説”となっています
楠本「テーマは誘拐。放送直前に本物の誘拐事件が起きたため、
急遽放送中止になったんです。いまだにお蔵入りで、放送されていません。
──平成5年8月10日に甲府市で起きた甲府信金OL誘拐殺人事件ですね。
8月26日に放送予定だった「ifもしも-」は放送局の配慮で、中止になったんですね
楠本「とても残念でした。しかも、このドラマを演出したのは本広克行監督。
深夜枠のドラマ制作チームにとても才能のある若手ディレクターがいるから、
ゴールデンタイムでデビューさせようということになったんです。それが本広監督だったんです。」
--その後、楠本さんは売れっ子脚本家、本広監督はテレビや映画のヒット作「踊る大捜査線」シリーズで
一躍有名監督に。
その2人のデビュー作がお蔵入りというのは、何とも皮肉ですね。
しかし、ここでくじけずにチャンスをつかみます
楠本「このとき知り合ったフジテレビの石原隆プロデューサーや、
黒田徹也プロデューサー(共同テレビからテレビ朝日)との出会いは大きかったです。
数え切れないほど書き直しをさせられ、プロの洗礼を浴びました。
しかし、発想やアイデアの豊富さ、頭の回転の速さなどに圧倒され、刺激を受けました。
それまでの私の生活リズムがレコードプレーヤーの33回転から78回転になった、
それくらいの差を感じました。古い例えで笑われるでしょうか。
──これがきっかけで上京を?
楠本「そうです。「このチャンスに東京へ行くぞ」と決意が固まりました。
石原プロデューサーからは絶対にやめておけと忠告されたのですが。
しかし、反対されたことで、私は余計に燃えました(笑)。
(2014年1月28日 産経新聞)