おやおや……また誰か、思い出を捨てた人がいるな。
愛した人と別れ、部屋に残ったその人の思い出を捨てる。
愛し合っていた時には喜びにあふれていたこれらの品物が、愛が終わった瞬間に輝きを無くしてしまう。
それどころか、ひとつひとつが愛の記録として重くのしかかってくる……特にこういったものはね。

そうなのです。心に深く刻み込まれた記憶は、なかなか捨てることは出来ません。
この二人、こんなに愛し合っているのに何故別れたのだろう。
心の深いところで愛しているのに、自分がそれに気づかないだけ。

──みなさんも、こんな経験はありませんか。